安気な住まい:ひとり親世帯が増え続けているが対策は

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「核家族」をウィキペディアで調べると

? 夫婦とその未婚の子女

? 夫婦のみ

? 父親または母親とその未婚の子女

となっている。つまり親族家族で親と子の単位世帯を言うのだが、日本の現在の家族の主流である。その他の家族の姿としては「三世代世帯」や「非親族世帯」あるいは兄弟などで構成する世帯を言うが、国勢調査などでの調査単為が「家計を一つにしている」ことを前提にしているため、一つ屋根に同居していても家計が異なれば別世帯としてカウントすることから核家族が生み出されているという見方もできるので、同居の実態としては見えにくい。

こうした事情はあるにせよ、統計分類された中で子育てをする世帯は「夫婦と子」と「ひとり親と子」がそれにあたる。グラフで見ると明らかだが、「夫婦と子」の世帯数は2000年に入ってから急速に減っていき、「ひとり親世帯」は着実に伸びている。未来予測では2030年ころには「ひとり親世帯」は安定し始めるが「夫婦と子」世帯はさらに減少する勢いである。これは人口そのものの減少により実質的には「ひとり親と子」世帯が増加しているということにもなる。

子育てするのに夫婦が揃って役割分担をしていると子育てもしやすい面があるが、ひとり親世帯では何かと不便。いやいや夫婦揃っていたって、子育ての苦労は妻に集中してノイローゼになってしまうケースもある。最悪の場合は子殺しでも起こってしまっては後の祭り。そこで、子育てに対して何らかのサポートが求められるように思える。

だから福祉側でも子育て支援は手厚い施策の一つなのだが、どうも全体に平等にという視点が強く、母子家庭を対象に、とりわけ個人的なサポートのない世帯への優しい支援が欠かせない。こうしたひとり親が保育園や児童福祉施設に関連した中にあればサポートも見えるのだが、それを離れて周辺からのサポートを受けられない場合は悲惨になる。自分ではその環境を造れないひとり親を対象にコミュニティづくりをレクチャーする必要があるだろう。

福祉サイドのサポートではなく、居住をベースにしたサポートは無いだろうかと考えると、戦後、間もない頃の戦争未亡人を支えた流れの「母子寮」の伝統がある。保育園などとの併設で近所にもあったが、まだまだ働く女性の少ない時代、子育てを支えるには保育園と連携する母親同士の支え合いが必要という考え方で出来上がった「母子寮」であった。こうした住まいは全国でもあって、子育てが終わって独立した子供は、親を母子寮に残して去っていった。そして、その親がようやく他界して「母子寮」の歴史も消えたようだ。全国の公営住宅の仕事をしていると、こうした住宅に巡りあった。それも概ね昭和の終りとともになくなっていったように思う。

昭和の歴史を取り戻す必要はないが、違う意味で「母子寮」が求められているように思う。ひとり親世帯の増加は、高齢者のみの世帯の増加と合わせ技で、助け合える関係のコミュニティが生まれる可能性を含んでいると思う。これからの住まいの在り方に、そんな関係を模索したい。

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このページは、秋元孝夫が2013年2月 2日 06:53に書いたブログ記事です。

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