「無理とムラと無駄」を無くそう。
無理してローンは組まない。無理して家を買うと後が大変。とりわけ低金利が続いている今、変動金利で家を買うなどは以ての外、金利上昇で喜ぶのは誰もいない。金利上昇で支払いが出来なくなった住宅は差し押さえられダンピングされて再販される。しかし、借金は帳消しにならないし新たに住む家は準備するしかないとなれば踏んだり蹴ったりだ。金利が上がることは物価も上昇しており、生活を圧迫させる要因になる。預貯金金利は上がるが資金に余裕がないからデフォルトするのであって、「預貯金金利とローン金利は拮抗する」などというセールストークに騙されてはいけない。すでに住宅バブルは崩壊して、資産価値が上昇する時代はとっくに無くなった。今後は資産価値は守らない限り低下する一方なのだ。
バブル期にスキー場のマンションを購入した人も多い。二千万のマンションが5万円で売っている。維持費が嵩むことで手放すオーナーが多い。その内維持費さえも払えない人が増え、固定資産税の支払いも滞っていると聞く。家族が成長して行く中でスキーが大流行。スキー場に宿が取れない時期があり、リゾートマンションが雨後の竹の子のように建設された。そこに成長過程の30代半ば子育て中の成金世代が集中した。自宅の他にローンを組み、たっぷりと借金を増やした世代が困惑している。どこかでバブルの付けを払っているのが現状である。住宅だけならば何とかなったが、別荘にゴルフ会員権そして株取引で大損した世代。欲張りすぎて多方面に投資したことが災いしてピンチに追い込まれている。借金は一極集中。「むら気を起こさないで堅実に生きよう」とは今になって言えること、堪え忍んでいる姿が見える。
会社人間になり、借金のために働いてきた。企業のベルトコンベアーに乗り、いつの間にか定年期を迎える。会社で過ごした時間の多さに今更感心するのだが、よくも人生を無駄に過ごしたものだと思う。退職を記念に夫婦で旅行に出る。会社からも勤続30年で初めての海外にも行ったが、ツアーで出会う人々も同族のよう。互いにかばい合い、自らの人生を肯定する。人生が会社の為だったのか自分の為だったか、子供達は独立して家を出ていき残された自分は何だったのかを考える。盛んに土産物を購入して子供達に孫達にと買いそろえる。近所にも配らなくてはと、自慢話を聞いてくれるチャンスを演出する。
サラリーマンとはそういうもの。今更無駄を埋めることは出来ないと諦めるか、今から無駄を埋めようと努力するかは貴方次第。定年退職の後に天下った組織で勤められるのも65歳まで、それからの人生、15年はある。経済力の整った余生と考えるか、もう一つの自己実現を目指す15年とするか、100歳を迎えた聖路加国際病院理事長の日野原さんを見習えば35年の人生が待っている。何を求め何にチャレンジするかは貴方の選択に掛かっている。