男1人で生涯を終えるという生き方も良いかもしれない。その場合には擬似家族を作ることをお勧めする。世間では男おひとりさまは何かと疎まれる。若い内はいいのだが、60歳も超えてくると何かと厳しい見方も出てきて、気むずかしくも不潔にも思われることが多くなるといささか自信を失う。
というのも男60にもなると、そろそろ加齢臭や脂ぎった汗などの体臭が気になり始める。その為には清潔にすることが何よりの習慣になる。しかし、誰かに見られているとか、相手が気になるコミュニティがないと、それができない。家族がいたり会社でいる内は社内の雰囲気で自らを改められたが、退職すると判らない。「男やもめに蛆がわく」という表現も当たらずしも遠からずだが、妻が早く逝くと大概の男はそうなる。
一方、ずっとシングルの男性は意外と自覚があり性格も静かだ。時には激しすぎて家族を造らない男もいるが、たぶん早々と犯罪を犯して監獄に入ることになるので、比較的おとなしい男が残る。シングルといっても結婚しないで親と同居というのは本来のシングルではない。こうしたシングルは一人住まいでないから、集まって住むなどの必要はない。ここではとりあえず、今一人住まいの男シングルを考えてみる。
そうすると比較的目立たたないタイプが多いが、大体が我儘な性格が根に隠れている。「結婚したがすぐに離婚」タイプのシングルが意外に多い。若い時に女性と付き合ったが、どうも盛り上がらないので自然とわかれたとか、なんだか面倒が先にたってしまうなど、1人でいる価値を放棄できないタイプもいる。
こうした男シングルが始末が悪い。だからといって男性好みならば、それはそれでカップルになれるのだが、なんだか倫理観というのか、ガードが硬いのか、ハードルを超えられないのか、おっかなびっくりで付き合う相手を選ぶことになる。だから意外と深い関係は得られない。表面的には付き合えるが、親族にはなれないという関係がフランクに存在しているのが居心地がいいようだ。
そこで、こうした男シングルには「地域に開かれた工房型コミュニティ」を提案したい。工房は地域に開かれている。その工房を男シングルの入居者が囲む。工房の種類は単独のメニューでもいいし、複数の工房がまとまっていても良い。たとえばパソコンの得意な人の工房と自転車好きの工房、それに釣り好きの工房も多様な工房が揃っていて良い。その工房が地域に開いている。工房の運営は居住者が担い。地域からのニーズに応える。たとえばパソコンの教室をホールで開催する。釣りのイベントを終末に企画する。自転車で遠乗りを楽しむなど、工房の主催者が企画して地域とのコミュニケーションを図ることの出来る住まいがある。それがコレクティブ工房住宅としての体をなす。
一つの趣味で集まるのではない。個々の多様な趣味が同居できる場を創る。それに因って相乗効果が生まれる。パソコンと自転車が結びついて、GPSで自転車のイベントを仕掛けることが出来るかもしれない。渓流釣りの安全管理をGPSで対応する。想像できないアイディアが多様な可能性を高める可能性がある。男の趣味にはカネもかかるし体力の変化でも志向が変わる。ゴルフが趣味だったが、ダイビングが好きになるとか、車が好きだったがバイクに替わるとか、こうした変化にも柔軟に対応できる工房付きコーポラティブ住宅を提案したい。どう???