余っている容積率を活用する方法第二弾として賃貸住宅を建設することを提案したい。というのも公的組織が分譲した団地の多くはエレベーターがない。民間ならば目一杯立てようとするので必然的にエレベーターは付くのですが、公的な組織の計画は中層が望ましいという考え方で計画しているせいか、5階建てまでの建物が多い。そもそもエレベーターの設置義務は建築基準法などの法文には謳われていないのですが、なぜか6階になるとエレベーターが設置されるという不思議がまかり通っています。いや正確にはそうではなく、各住戸までが5層で有ればエレベーターはいらないと言う暗黙の取り決めがあるようで、斜面に建っている7階建ての3階に道路からのメイン階段があるマンションにもエレベーターが無いし、5階と6階がメゾネットになっている団地型マンションにもエレベーターがない。要するにアプローチ階から5層まではエレベーターが必要ないとなっているようです。
実は建築基準法にエレベーターの設置が登場したのは平成7年に国の長寿社会対応住宅設計指針に6階以上に設置義務を謳ったのですが、実は昭和26年に公営住宅法が制定されて、関連の建設基準に6階以上のエレベーター設置基準が示されていて、その後の公的な住宅建設では特に言われなくても厳密に基準を守り続けていたことになります。ちなみにエレベーターの設置義務は中国では7階以上だと聞いていたしヨーロッパは6階建てのリスボンのホステルにはエレベーターが無かったし、ロンドンの5階建ての社会住宅に外付けのエレベーターが増設されていたので、もしかしたら統一されていなかったのかも知れません。何はともあれ、高齢者が増える中でエレベーターの設置は時代の要請です。25年前に私の関わった3階建ての民間マンションには油圧式のエレベーターを付けましたので、公的な住宅のみが遅れていたという事になりますか。公的機関の習性で、何かに習わなければ決められないという実績主義と言うか右へ習えというか、前例主義が長年日本のエレベーターに基準を与えていたとすると、これもまた凄いことでもあります。
かなり本題から外れたようなので、本題に戻すと、エレベーターのない団地に今更エレベーターを付けるのはナンセンスなので、空き地にエレベーター付きの賃貸マンションを建設しましょうという提案です。高齢者等のバリアフリーな環境が必要な人には、コミュニティを離れることなく住み続けられるようにエレベーター付きの賃貸住宅を管理組合が建てるのです。そして団地内の高齢者等が移り住み住み続けるのです。家賃は所有している住宅を賃貸して確保しても良いし、売却して移ることも出来ます。また、所有している住宅を担保に生活費を捻出するリバースモーゲージも活用できるでしょうし、マンションには融資しないと言うのならば、管理組合が胴元になって融資することも可能です。何れにしても機のあった方々と生活を続けることの出来る環境を守り、継続して生活することが必要なのです。
自分たちで建てた賃貸住宅は土地が只なので家賃も低く抑えられます。内部で使う場合は割安な設定も可能でしょう。100年使える建物ならば殆ど修繕費程度の家賃で貸すことも可能でしょう。投資した資金を100で回収することを前提に家賃を設定すれば市場家賃よりかなり安くなるはずです。そこでは共に過ごすための仕組みとしてコレクティブ住宅にもなるでしょうし、必要に応じて認知症のサポートも導入したりシングルマザーとの共生も可能でしょう。コミュニティのまとまりは様々な可能性を生み出します。それは大きな家族の始まりなのですから・・・。
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