安気な住まい:単身世帯は増え続けるが対策は

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予測というものは未来を診るためには絶対的に必要な情報になる。とりわけ「住宅」を考える上では基本的なものとなる。というのは家族の姿と住宅の姿が相関することに他ならないからだ。

そこで、未来の家族はどのようになっていくのかを単純に「核家族」と「単身世帯」で比較してみた。すると現在、核家族の数はピークに達していて、今後は減ることが予測されている。そして単身世帯がドンドンと増えていくことが見えてくる。となると今後のテーマは単身世帯のすまいということになる。

この場合、一言で単身世帯と言っても、学生の単身から高齢者の単身まで様々で決め手がないが、ここで単身世帯が増えている背景を見定めると以下に整理できるだろう。

? 高齢単身世帯が増えている。

? 晩婚化、未婚化の進展で単身者が増えている。

? 離婚の増加で単身世帯が増えている。

? シングルマザーなどの増加で単身化が早い。

? 別居結婚も増えていて単身居住が増えている。

? 老親との同居から単身化するケースも多い。

? シェアハウスなどの普及で、親元から離れる若い人が増えてくる。

単身化する要素は多々あるが、それぞれに住まいの形も選択も変わってくるように思う。最近はやりのシェアハウスならば、都心に近い一戸建てや広いマンションが拠点になりそうだし、高齢者にはシルバー用の介護付きなどの住まいも提供され始めている。晩婚化や未婚化でのシングルの増加や別居結婚の場合は、独立した生活の場を確保しているケースも多く、もともと独りでの生活を積極的に望んでの単身化なので、それを結びつけることは意味を持たない。こうして考えるとシングルの共同住宅を必要とするのは若い結婚前世代か高齢者ということになる。だから若者のシェアハウスやシニアハウスが広がっているという読みもできる。

こうして見てくると、単身世帯の住宅のニーズも見えたし、その住宅供給も拡大すると思われるが、何かが抜け落ちているのではないかと思える世帯がいることに気付く。それは将来の単身世帯化に気がかりな世帯であり、単身で子育てしているひとり親世帯の存在だ。

何れ子供は成長し独立する中で、親が取り残されることになるが、そこに未来の選択のジレンマがある。「親を残しては結婚できない」「子が独立したら独りになる不安がある」「子育て後の単身生活が長くなる」「親付きの子供は結婚が難しい」などなど様々なハードルがありそうなのがひとり親世帯の未来。そこに共に住む住宅を提供することで、未来を明るくすることは出来ないのだろうか。

現実の子育てにも悩みは多いし、身近に相談できる人がいることは心強い。だから他人でも一緒にいると何かと便利。そして子育ては、住まいを気にし始めてから、せいぜい高校を卒業する10年から15年が山。それを過ぎれば子供は親を離れる。いや離さなければ心配にもなる。だからシングルマザーも心の中では親離れをさせようとする。しかし、子供が親を見捨てるようにも思えて離れなれないのだが、互いに同居し続けると子供の婚期も遅れることにもなりかねない。そこを何とか回避できるような住まいがあるといい。

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このページは、秋元孝夫が2013年1月10日 06:57に書いたブログ記事です。

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