安気な住まい:高齢化しても安心な地域はどこ??2

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「有料老人ホーム」という言葉を読むと、「料金の必要な老人ホーム」と読める。それに対して「公的老人ホーム」と云えば、何らかの公的な補助の入った施設で、施設料などの負担はない施設だと理解できる。実際、公的施設である特別養護老人ホーム(特養)や養護老人ホーム、軽費老人ホームなどの費用は公的な支援を受けるので、有料老人ホームよりは相当安価な入居費用で過ごすことが出来る。だから東京圏などは特養に入るのに10年や20年、待たなければ入れないなどと言われるほどで、入るまでには亡くなっているという悪い冗談まで聞かれる始末。だから高齢化して年金生活になったら、公的施設の多い地方に移住したほうが安心だという考え方もある。その比較のためには全国各地の施設の量がポイントになる。つまり、高齢者の数に対して公的な施設が多いほうが入りやすいということになる。

公的施設の割り当てとしては、だいたい多い県と少ない県では2倍の開きがある。65歳以上10万人に対して50施設以上が島根県、徳島県、そして40台が香川県、秋田県、鹿児島県、長崎県、佐賀県、愛媛県、岡山県と続く。秋田県以外は大阪以西の九州四国中国が占める。秋田県は高齢化県でもあるが、人口減少の先頭グループなので、高齢化が進み過ぎで施設の余剰が出始めている状況でもある。つまり施設の余裕は高齢化先進県に現れ始めているといえる。元々、地方で高齢化が進んだ。だから国は地方の高齢者施設にテコ入れを行ったし、地方自治体としても現実の高齢化に対して市民の生活支援を重ねてきた。そして結果として施設だけが残っていったという流れである。つまり、高齢者にとっての公的ストックが可能な環境が整っているという特徴が現れ始めたのである。

「ストックの時代」と言われるが、戦後の日本経済の発展の中で蓄積した資産。とりわけバブル経済期に良質な公的ストックを量産して「負の遺産」として評価されるものも多いが、それらを有効に活用することで「負の遺産」が「正の遺産」として理解される事にもなるのだという意味で、高齢者施設は有益であると思う。地域に残された資産は団塊世代などの高齢者の他界と世代交代により、よりゆとりのある経済的な高齢者の居住環境を生み出す基盤として都市に息づくことになる。そうなると高齢化はもう怖くない。

一度、建った建物は少なくとも100年は使えるものである。地方に建てようが都会に建てようが建物の性能や寿命は同じで、高齢者への見守りのサービスさえあれば快適に過ごせる環境である。地方の若い世代が高齢者施設で働き、高齢者がその経費を負担する形が確立されれば、経済は回る。施設建設費に費用が嵩んだり、企業の利益追求に加担した費用負担を架せられる有料老人ホームと違って、みんなで支えあう公的施設で過ごすことに、次なる人生を置くという選択も都会人にはあるのかもしれないと、改めて思う。

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このページは、秋元孝夫が2012年12月 5日 06:37に書いたブログ記事です。

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