安気な住まい:公営住宅という選択

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全国で住まいが余り始めていることは何度か説明しているが、住まいが余ると空き家が増えて、住まいの選択肢が広がることになる。住宅ユーザーとしては好感を持って受け止められるが、賃貸住宅の家主にとってはたまらない。空き家が増えれば増えるほど管理コストがままならない状況になる。

賃貸住宅の経営は、使われないでも維持する費用がかかる。とりわけ建物は風雨に晒されて室内は換気が悪ければカビも生えるしダニも湧く。畳替えをしていても使えなくなることはザラにある。空き家の管理は手間がかかるが家賃は入らないので、ダブルで損失が増える。だからやむなく家賃を下げてでも入居者を確保しようとする。それは公営住宅も同じこと。

公営住宅は税金で運営しているということもあるので、管理は比較的ルーズになりやすいが、管理が悪いと人気も落ちる。地方でも都会でも公営住宅というだけで差別的な意識で見られたりもするので、敬遠されることも多い。しかし、家賃が安いので大都市では人気の的になる。東京の坪当たり家賃が3500円、多摩ニュータウンには35?当りから65?くらいまでが中心で供給されているが、だいたい2万円から4万円程度が標準で、都内でも安価な設定。さらに高齢者になるとその半分程度に減額される。だから高齢者にとっては最後の砦で、公営住宅が当ったらラッキーということになる。

地方に行けば、それがさらに安くなる。意外や意外、岡山県が安い。平均値だから全てが岡山市ではないとは思うが、以前、岡山県内で市営住宅の建替計画をお手伝いしたことがあるが、その建物が建っているとすれば、品質的には民間のアパートよりは良いという評価になる。というのも地方でコンクリート増の賃貸住宅は公的賃貸住宅しか無いという実態がある。そして近年の公的賃貸住宅は必ずユニットバスで給湯付きだし、バルコニーも広く隣棟間隔も民間の迫っ苦しい敷地に詰められること無くゆったりとしている。

公営住宅の家賃が安い県には四国や中国地方、それに宮崎県が安い。嘗ての新婚旅行のメッカ、宮崎は今や安く住むにはもってこいの地になった。高齢化した夫婦が、あの日新婚旅行に行った宮崎で最後を迎えるなんてのも魅力ある選択だとすれば、そろそろ東京から宮崎に向けて移動するのも得策。何しろ東京の家賃の半分で住めるし、宝くじのような東京の公営住宅ではなく、現代の仕樣で造られた宮崎のバリアフリーの公営住宅に住み、温かい老後を過ごすなんて言う夢の様な生活がある。

私は四国出身だから、やはり四国を選びそう。徳島や高知、愛媛も家賃が低いし、次第に家賃は低下していて、さらに年金生活では住みよい環境が生まれつつある。東京に後ろ髪を惹かれるものがなければ移れるのだが、どうも地域活動が過ぎて、関係者が増えすぎたのかもしれない。なかなか足抜きできない状況に地方出身者としては身が引き裂かれる思いもある。

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このページは、秋元孝夫が2012年11月 9日 06:33に書いたブログ記事です。

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