住宅は住み手が居なくても維持管理費がかかる資産である。固定資産税のみならず定期的な修繕は欠かせない。だから空き家で維持することは不経済きわまりない。なのに地方には住み手の居なくなった住宅が急速に増えている。
3年前青森県の北部、外が浜町に仕事で調査に出かけた。漁村と農村の共存する町だが、次第に人口減少が続いていて2005年平成の大合併で 蟹田町、 平舘村、 三厩村が合併 して誕生した。地方都市は持ち家率の高い土地柄である。その中でも分家やUターンなどで求められる公営住宅を建設していたので、見るからに現代的な立派な公営住宅もある。国からの補助施策に応じての建て替え事業が継続して、今風の公営住宅が建設されている。しかし、新しい公営住宅には入居者が要るのだが、少し古くなると空き家が目立つ。総体としては空き家過剰な状況がある。
それは南国でも同様で、とりわけ四国地方や中国地方には空き家が増えているようだ。私は讃岐育ちだからUターンの為に香川県の丸亀市に市営住宅を求めたいと考えると、丸亀市のホームページから市営住宅を検索することが出来る。まず飛び込んで来たのが、特定公共賃貸住宅募集のお知らせ。随時募集として70?代5万円台という家賃と規模が紹介されている。これは国が肝いりで地方自治体に作らせた割高家賃システムの公的賃貸住宅で、家賃が高いので必然的に人気が無く、空き家が増加しているからこの有様である。
もっとグクッて見ると、東日本大震災被災者向けに公営住宅を提供しているコーナーがある。11団地18戸に及んでいるが、その中でも本島団地1戸という魅力的な申し込み可能な住戸がある。本島は瀬戸内海の島で、丸亀市とは定期便が就航していて瀬戸内の気候と島の環境、そしてそこそこの市街地を形成していることを勘案すると都会人には垂涎の住まいになるに違いない。現役を離れた佳人にはもってこいの住まいであろう。丸亀市の募集要項には様々な入居条件が書かれているが、市外からの転入者は入れないと言う記述はないし、一般の公営住宅入居基準と変わりない。だから、前もって自分の持ち家を売却して賃貸住宅に住み移れば入居資格は出来る。それから申し込めばいい。
それに隣町の多度津町には私の設計した町営住宅もある。そこに入るにはどうすればいいか、さらにグクッて見ると、なんと公開してない。人気が有りすぎて公開しないのか、公営住宅に入るような貧乏人はお断りなのか情報が公開されていない。非常に残念だ。こうした状況は地方により異なるが少なくとも地方都市は人口減少に悩まされて、域外からの転入者を求めている。もちろん最初から市民税を多く支払う現役世代の転入を行政側は希望するが、資産を持った団塊世代なども標的に入っている時代である。大いに勇気を持って地方都市にチャレンジしよう。
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