相変わらず持ち家数は増えているが、ここに来て民間の賃貸住宅居住者が激減した。2005 (平成17) 年から2010(平成22)年に掛けて14%も落ち込んだ。データは居住世帯の数の激減ではあるが、実はそれだけ民間賃貸の空き家が発生したことで、事態は穏やかではない。実数としても2,500戸程の空き家が発生していて、それまでにある空き家も加えると相当の空き家が発生していることになる。2008(平成20)年の住宅・土地統計調査の多摩市の賃貸用空き家は3,570戸となっており、さらに5年前の2003(平成15)年の民間賃貸住宅の空き家3,250戸と比較しても高々320戸の増加なのにもかかわらず2,500戸の増加は相当、民間賃貸住宅市場を冷えさせていると想定できる。実際、持ち家住宅の空き家も2003(平成15)年の空き家数590戸から2008(平成20)年は1,600戸と3倍に延びており、中古不動産そのものの流動化が停滞していると考えることもできる。
持ち家の空き家率がそれでも5%程度なのに対して民間賃貸住宅は公的賃貸住宅を割り引いて推計しても25%に達していると見られ、こうした空き家の活用が急速にまちづくりの課題へと登ってくると思われる。何が原因か、どのような住宅が余っているのかを探るのには実態調査が必要だが、こうした民間賃貸住宅を活用した『安気な住まい』の可能性も広がってくる。不動産事情の大変革が多摩市にも押し寄せた恰好だが、正に既存ストックを活用したオープンビルディングの考え方が求められている時代である。都市の資産を有効活用して、そこに住み続けることの出来る町にアレンジしていく役割、それが地域で活動するNPOなどの専門家集団であることも確かだ。
こうしたグラフを見ていくと、不動産業界に周知していない者には驚きと写るが、当事者達の意識は如何なるものだろう。身近にいる賃貸物件を扱っている不動産業者に聞いてみようと思う。そして、真相を探ってみるのも面白い。国勢調査によると、一人世帯の急減という実態が有ったので、若い世代が比較的安価になったワンルームマンションをさらに利便地区を目指して移動した結果かなと思っている。だからワンルームマンションの空きが増えたというのが落ちだろうとは思っているのだが、本当のところは解らない。気になるな?っ。