安気な住まい:やはり住まいは賃借権がいい

| コメント(0) | トラックバック(0)

基本的に住まいは「所有権」ではなく「賃借権」が良い。というのは高齢化した場合に「所有権」に業者が群がって自主的な判断を失わせる可能性があるからだ。

ある時、思い立って老人ホームの門を叩いた。日頃の生活の支えが心配になって、近くに出来た有料老人ホームに声がけしたら、それからの攻勢は日常的な親切が始まった。電話での声がけに始まり、資産の処分相談、そして食事サービスを提供するという施設へのお誘い。体験入居も予定する部屋も提供され、隣戸への挨拶と犬のいることの承諾などが繰り返し続く。親切だからと断れないまま契約まで進んでいく。シナリオに沿った営業行為が続く。入居金1800万円、部屋はワンルームと小さい。「あのホームには洗濯機が無いが、個々には部屋に付いている。食事の世話も医療施設も24時間体制が整っている。」謳い込まれたセールストークは完成して入居者が決まらない部屋が埋まるまで続く。決して入居者のためではない事業者の為のセールストーク。それが解らないのがつらい。

今住んでいるマンションを処分するという予定を話すと、提携だという不動産業者が尋ねてきて、言い値で査定するという。断り切れないのでネット公開を承諾すると、今度は客が付いたという返事。希望価格の確保は難しいという説明と2割減ならば契約するという話。「所有権」から「終身利用権」に移行したとたんに、もう元の住宅には戻れない。そこが業者の狙い。「所有権」を処分してしまえば「終身利用権」や「賃借権」を買うしかない立場になる。その為の攻勢である。

高齢者を食い物にするやり方は、いくら最初に高邁な理想や理念を持った活動であっても、売れ残る不安には節操のない営業になってしまうのが世の常。だから「賃借権」から「賃借権」が望ましい。「所有権」をまず「賃借権」にする。つまり持っている資産を賃貸に出すと「利用権」にかわる。そして自分も賃貸型の老人ホームに「賃借権」で入る。費用面では見かけ上は多額な入居金を積む方がやすく見えるが、トータルは同じ。「生涯面倒を見ます」の約束は「賃借権」でも同じ。寿命がまちまちだから平均が取りにくいのだが、それこそ高齢者用の「(仮称)老人用生命保健」に入ればいい。掛け捨て型のものであればある程度の保障は出来る。「100歳まで生きたらどうしよう」と不安になる欲張りがホーム側のトークに負ける。もう良い、どうぞ多額な入居金システムでお入り下さい。貴方にとってそれが安心ならばそれでも良い。もうこれ以上は言いたくない。

『安気な住まい』は「賃借権」型の住宅にしたい。そして生涯住み続けることの出来る仕組みにしたい。適切な資金計画とコミュニティがあり、地域で見守られる仕組みが欲しい。落下傘のように入ってくる業者に折檻されるのではなく、地域で見守りのあるコミュニティを作りたい。それが望みだ。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://machisen.net/blog/mt-tb.cgi/37

コメントする

このブログ記事について

このページは、秋元孝夫が2012年3月22日 02:20に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「安気な住まい:不動産事情激変 2」です。

次のブログ記事は「安気な住まい:多摩市の不動産事情激変」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

ウェブページ

Powered by Movable Type 5.12