先日見つけた群馬県桐生市の中古物件は中古の一戸建てだが築22年余りで比較的良質に管理されていて、なんと床面積は320?、敷地面積5,600?の物件。それで1,300万円は驚きだ。価格的に驚きだったので、事故物件ではないかと思われる方もいるかもしれないが、以前にも土地2300?、建物120?、600万円という物件があり、すぐに買い手が見つかったようなので、今回も情報が出て間もなく買い手が見つかるとは思うが、なにしろ思いがけない規模で、桐生市内でコレクティブハウジングやコーポラティブ住宅を企画している身としては、「既存住宅の利用での道もあるな」と改めて思った次第である。
部屋数も10室もあるので個室が充分取れるし、食堂も広いのでみんなでの食事も出来る。多少の設備の改善を行えばコレクティブハウジングは簡単だ。後はそこに住みたい人を集めるだけだ。バス停も50メートルと近く、公共交通も整っているし隣接して老人ホームもリハビリテーション病院もあり、介護支援の環境も整っている。こんな物件は滅多にないと思わせる条件は整っている。不動産広告の備考欄には「広大な敷地の山林・作業所付中古住宅!自然環境に恵まれた静かな住環境です。間取りも余裕たっぷりで様々な用途に使えます!価格相談可能です。」と書かれていて、「そうだな?」って感心してしまった。実際には買うことも出来ないので問い合わせは控えたが、一度は見てみたい物件ではある。
群馬県下の不動産事情を不動産総合情報サイトのat home webで見てみると、一戸建ての中古物件で4LDK以上の物件価格は桐生市が最低のようで、不動産価格全体に低下していることがわかる。とりわけ谷合の低地部に展開する住宅に人気が無くなっているように見受けられる。山間部に入り込んだ桐生市の幹線道路は基本的に広域的な道路ではなく、地区内交通の処理のみの道路であり、どうしても行き詰まりの印象を免れない。つまり、不便だということと広域的なアクセスとしての利用価値がないという結論になるようだ。今回の物件も倉庫付きの事業併設用地で、現地写真では広い空き地に輸送用の木製パレットが積まれており、輸送関係の商売を営んでいたと思われる。結果として、倉庫も従業員もいたのだと思われる住宅も含めての処分になった理由は、想像に難くない。
不動産価格の低迷は地方部だけではない。多摩ニュータウンからほど近い八王子市寺田地区のマンション価格の低迷は顕著である。1982(昭和57)年2月築の98?の公団分譲の物件。5階建ての3階で1,280万円という価格。最寄り駅からバス便という理由で敬遠されているようだ。同様に町田市小山田桜台の98?の物件。賑やかな町田駅からのバス便だから比較的便利だと思うのだが1987(昭和62)年3月築1480万円の価格はかなり私の予想を下回っている。
価格帯からすると一次取得者層が改装して居住するには好都合な物件だとは思うが、現状での若い世代は共働きが普通。こうなれば通勤の都合上、両者に都合の良い利便地区が選ばれる。ましてや住宅余剰の時代である。今後の売却などを考えるとバス便は敬遠される第一の理由となろう。駅から徒歩10分以内でなんとか探したいと思うし、通勤時間は1時間以内が常識に成りつつある。こうして見てくると現役の間は賃貸でもと考える人も増えるはず。資産価値の構築はもう無理な時代に入っている。住宅ローンを抱えるだけ不安が増す時代に来ている。たとえ消費税が上がろうとも資産価値の減少スピードが速くては追いつかない。
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