安気な住まい:団塊世代、女性編、今後の人生設計はどうする?2

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平均年齢を考えると、亭主より長生きすることが判っていると、その後のことが気になってくる。見送った後の10年の過ごし方である。子どもがいれば孫の世話などを口実に近所に住むか同居するかが話題にはなるが、一人で生きるという強い意志もそろそろない。だから、死に別れた後家同士が共に暮らそうという動きも出てくる。かといって、友人が同時に後家になるとは限らないから、不特定多数の後家同士が共通の価値観で集まるしかない。そこにコミュニティが生まれる。

ケース1:高齢者コレクティブで生きることを選んだ女性。

有料老人ホームを探しもしたが、入居金や維持費を考えるとハードルが高いと判断した。食費を含めて毎月20万円の負担は無理だから気軽に入居できない。自炊で過ごせば持ち家だから家賃もいらないし、せいぜい10万円もあれば過ごせる。そう考えると迷いが出てきて、自らの経済とニーズとがマッチングする住まいは無いものかと模索していた。そんな時に、共に暮らそうという提案が地域のNPOから持ち上がってきた。

高齢者10人が集まって住むアパートだ。地主と協力して共生する住まいである。アパートの家賃は9万円となるが、自分の住まいを貸しても、その家賃と相殺される計算になるので実質負担は増えない。そして何より良いのが、万が一、住み続ける自信がなくなれば家に戻れるという選択だ。子ども達も資産を処分して入居金を払う有料老人ホームでは納得していない様子だったので安心だ。

もし介護が必要になったら、地域で活動している介護支援NPOが協力してくれるし、居住者達が選任した医師も駆けつけてくれる。いわば自分たちでつくる老人ホームと言ったところだ。

暮らしの安心をデパートからトータルで買うのか、自分で専門店をチョイスして買うのかの比較で、個々のニーズに合わせた利用の出来る環境が望ましいと考えている。面倒だから全てをお任せで買うことは当然のように費用が嵩む。金銭的に余裕がある人はこうしたサービスに身を委ねることも可能だが、圧倒的に庶民が高齢化する社会である。自分の人生を自分で選択してサービスを受けることが出来る方が私は好きだ。

もちろん、私の顧客で後継者もいないので超高級老人ホームに入居している人もいる。持って死ねないのだから、あるものを使い果たして死にたいという選択も有ろう。それを否定するものではないが、今後、求められる住まいはこうした庶民の共生住宅だと思う。いわば庶民派の老人ホームの供給だろうと思っている。

国の施策でも様々な高齢者の住まいを制度化しているが、制度として補助金などを出し始めると、そのルールが厳しくなり画一化して、居住者の本来のニーズに適応しなくなる。だから本来の求めに柔軟に対応できる住まいづくりが望まれる。その方法は多様であるはずだ。

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このページは、秋元孝夫が2012年8月19日 20:20に書いたブログ記事です。

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