安気な住まい:イギリスでは古い家を改造して住むのだが日本では新しく建てて住むのが主流

| コメント(0) | トラックバック(0)

私の住んでいるホームタウン南大沢団地ではここの所改造工事が盛んに行われている。とりわけ1階の改造が人気であるが、住みながら改造するにはそこそこ覚悟がいる。工事中が大変だという問題もあるのだが、基本的には住み続ける覚悟が無ければ大きな投資には及ばない。改修工事は少ない費用ではない。設備を伴う改装は1?10万が相場だとすれば我が家でも900万は必要だ。それだけのまとまった投資をする以上、生涯をそこで住み続けようと言う意志が必要になる。そもそも改造に手を掛けている世帯は子育てを終えた熟年夫婦の世帯ばかりだ。子供にも手が掛からないというか子育ての費用も目処が立ち、後は老後を含めて自分たちの豊かな生活を支える環境づくりだと考えれば、余裕があればチャレンジしようと思うのも最も。それも1階であれば住み続けられるという見込みも高い。

私の住む団地にはエレベーターが無い。だから1階は高齢化に有利だ。実際、最上階が売りに出るケースが増えていて不動産評価も思いの外低い。以前、マンション業者が言っていた「日本人は高いところがお好き」という皮肉ったような思いは既に無くなって、防犯的にも湿気などにも弱い1階が人気なのだ。やはりバリアフリーとまでは言わずとも将来については何とかバリアーを克服することが自力でも出来そうだという見込みがある。思えば階段型の住棟はプライバシーが確保されてグレードから言っても片廊下よりはリッチ。そんな気持ちで全国に階段型の住宅を建設した。それなのに今はエレベーターを設置しても効果が薄いとして遠慮される時代。人の価値観によって大きく変わる建築様式に閉口する。

clip_image002

最近の日本人も新築を求めるのではなく、住宅を改造して住むようになったかと思うのだが、実は本質が違っている。イギリスのそれはDIYが基本で居住者自らが住まいの改造に取り組むのが普通。欧米の考え方はスケルトンで受け取り、自ら自分にあった住まいに改造するのが基本。古い建物を何代にも渡って利用するという生活習慣が、こうした仕組みを育ててきた。日本の住宅はせいぜい25年平均で建て替えられるのだから古い建物を譲り受けるときには建替が前提になる。それが漸く建物一代の中で2回のインテリアを選択できるという時代にはなったようだが、まだまだ他力本願が抜けないでいる。

イギリスでは自分たちで住まいづくりをする伝統があるので、住宅部品にも凝るようだ。古い便器や浴槽を使ったバスルームを利用して計画したり、シャンデリアは由緒ある建物に使っていたものだったりと、小物に凝ったり、古い石や古木を使ったインテリアも定番だ。欧米の住宅雑誌にもそうした内装のアラカルトの特集が組まれていて雑誌の中心的な情報になっている。しかし、日本ではまだまだ自分で手を出すとまでは行かないのが残念。そろそろ自らの余暇時間を住まいのグレードアップに投入してはいかがか。壁紙を張るのも土間を塗るのも自分たちで出来る仕事。何も健康の為にエアロビクスしなければ元気にならない訳ではない。住まいをちまちまさわっているだけでも元気の泉は沸きだしてくる。そうだ、私もやってみるか。というのも業者任せに出来るほど資金が潤沢ではないのが本当の理由かも。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://machisen.net/blog/mt-tb.cgi/33

コメントする

このブログ記事について

このページは、秋元孝夫が2012年2月28日 00:44に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「安気な住まい:公営住宅は最高の生きる場所」です。

次のブログ記事は「安気な住まい:コミュニティが大切だからといって」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

ウェブページ

Powered by Movable Type 5.12