安気な住まい:ひとり親世帯の居場所

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核家族世帯とは、夫婦のみの世帯、夫婦と未婚の子のみの世帯、ひとり親と未婚の子のみの世帯の3つをいうが、国勢調査では「ひとり親と未婚の子」の数字は引き算で出すことになる。そこで都営住宅の諏訪4丁目とUR賃貸の永山4丁目にひとり親世帯がどれほどいるのかを計算してみた。すると諏訪4丁目では核家族の内33.1%が一人親世帯ということがわかった。同様に永山4丁目では19.8%という結果であり、多摩市全体の比率14.4%と比較すると都営住宅にはひとり親世帯が特に集中していることがわかる。加えて都営住宅が集中している愛宕3丁目と貝取3丁目も見てみると、やはりひとり親世帯が集中している。

この場合、子育て中の親子もいるが、高齢の子供に高齢の母親というケースもあり、必ずしも若い世代とは限らない。また外国国籍の家族もあり、一般的に賃貸住宅に住み続けるひとり親世帯の最後の住まいが公営住宅であることも見え隠れする。

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賃貸に住みながら子育て中の、ひとり親世帯の場合は、その親からの持家住宅の継承の可能性もあるが、親と同居の子が高齢者の世帯ではその可能性がないので、基本的には一人親世帯から高齢単身世帯への移行になる。都営住宅の場合は「単独世帯」の数は60歳以上の人であり、単身となったとしても殆どが高齢者として区分されることとなる。また、親がなくなって単身となった場合、60歳に満たないからといってすぐに退去は迫れないので、結局は高齢の親を持つ子は単身になった時に「単独世帯」として定住することになる。

一方、UR賃貸住宅では入居条件として一定の所得が必要であるため、高齢者親子の入居ではなく子育て世帯の入居が一般的になる。出来る限り子育てするための精神的な負担のない環境を選ぶと、公的賃貸住宅の環境が残ってくる。「ある程度の収入があれば都営住宅には入れないし、抽選で入るには子育て環境を確保するには子供の成長に間に合わなくなる。かといって家を買うという資金的な裏付けがない場合は、たちまち賃貸となる。その場合、敷金礼金、更新料のいらないUR賃貸は借りやすい。」という流れになるのが一般的。

「ひとり親世帯」と一括りにできないのが家族の姿。自らや親族の経済力、共同して生活するコミュニティの力、家族に備わった環境条件の違いに因って選択は変わる。その中で一人ひとりが模索している。そして選ぶことができる環境要素として「安気な住まい」も選択肢になるだろう。

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このページは、秋元孝夫が2012年4月15日 02:52に書いたブログ記事です。

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