コミュニティに溶け込む動機は女性が優位を占めている。何処に行っても男は孤立していて、積極的な動きは少ない。しかし、私の友人に一風変わった個性的な奴が居る。突然妻に先立たれたのでどうなるかと思っていたら、結構外向的で広く女性とも付き合うし、冗談も頻繁に出て旅行好きが呼応して単身ツアーに参加して旅を楽しむことを身につけたようだ。自分では中国が得意だと言い、一人旅を決め込んで満州は東北地方を尋ね歩く。その旅すがら女性の知り合いが出来て、盛んに土産話をする。「そうか男も孤独を抱えない人もいるのだ」と感心する。
ひょんな事から旅好きだという彼も誘って男4人でデンマークとドイツを訪ねた。ベルリンの世界遺産を周りデンマークでサッカー、デンマーク対日本戦をコペンハーゲン市役所広場で観戦し、市内を自転車で走り回る気ままな旅になった。旅行好きの彼は面倒見も良くて、朝は日本から持ってきた旅行用のポットでインスタントコーヒーをみんなに振る舞い、細かな所に気を遣って私などは五月蠅いほどに感じてしまうばかりだったが、兎に角面倒見が良い。本人は技術屋なんだが仕事で営業をやっていて今も時々会社に出向いて後輩を指導していると聞く。よくよく考えると彼は他力本願の男ではなく、自ら物事を切り開く女形なのだと理解した。だから一人になっても強く生きられるのだと。
ある学者が高齢者について評価するのに、高齢者になれば生物学的には「雌雄具有」に近づくのだという言説があったが、正に彼はそれかも知れない。若い頃から付き合っているので解っているつもりだったが、前につんのめるような面倒見と自己主張、それに相手をおもんぱからずに突っ走って行く有様は、私には受け入れられないが、世話人としては大いに役に立つ性癖であろう。高齢者の介護や面倒見の良い世話好きのオヤジというイメージで見れば納得の人材である。
一方、女も男を演じるようになる。押っ取り刀の女はますますノンビリとしていくようで、焦らず騒がず物事に静観する資質がさらに磨きが掛かるようだ。性格は年齢と共に先鋭化するとは、心にいらいらが貯まっている人はますます怒りっぽくなるように、おっとりした性格の人はますます穏やかになるといった風で、出来ればノンビリ組になりたい物だと思ってしまう。ほのぼのと人を愛しつつ時間が過ぎる豊かさを味わいたいものだ。
彼の場合は、もしかして激しい愛を求めているのかも知れないが、その辺りの情報漏れは無いので知るよしもないが、心が先鋭に成ればなるほど愛することも激しくなるに違いない。最近あった関西の老人ホームでの殺傷事件を思い出すが、その時の結末を想像すると恐ろしくも成るが、ヒョッとしたら年賀状に「再婚した」と書いてくるかも知れないと思う。ドリフターズの加藤茶だって45才年下の女性と結婚したし、堺正章だって22才年下との再婚の状況を考えると、彼も面倒見が良かったなとタレント達とつい比較して、彼の生き様に今更感心させられるこの頃だ。
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