新しい住まい作りをスタート

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「浄瑠璃14」に始まり「永山ハウス」が完成した。しかし、永山ハウスに参加する予定だった一人が途中で参加できなくなった。それは永山ハウスが分譲型マンションだったからに他ならない。多くの単身高齢者にとって終の住みかは大きなテーマ。しかし、現実には資力は有っても後継者の居ない身ではマンション購入はハードルが高い。それならば有料老人ホームに入ろうとするのが一般的な選択。多くの人が選択するのが身よりのない単身者の行き先である。だから有料老人ホームの経営者から、無くなった高齢者の資産を譲り受けたり、寄付行為で施設の運営に活用したりしたという話も聞く。

機会がある度に日本の高齢者に対する老人ホームのあり方に疑問を呈している。日本の老人ホームは浜松市の聖禮会が最初で、法定伝染病として不治の病でもあった結核患者を収容するのに使われた、利用者負担の仕組みが始まりだ。その運営を遂行するに建物を患者家族が建設し、患者が他界した後は社会的な資産として活用しようと言う仕組みだった。その考え方が有料老人ホームにも適用されたのだが、入居者負担に対して「生涯利用権」という考え方に建物の建設費が基準になり、入居者に繰り返し建物の再建までの費用を負担する仕組みになった。

最初に有料老人ホームを造ろうとした当時は木造の平屋建て。もちろんエレベーターもない建物だから、せいぜい20年か30年では建て替えを余儀なくされる。その為に入居者の方々に負担願うことが事業を存続させる条件だったというのが真実。だから建設費に見合う入居金を担保に生活支援や介護に精進したという歴史が残る。しかし、今は維持管理さえちゃんとすれば100200年は建物の維持は可能な時代。「入居金」が15年や16年で消却される仕組みは不動産の利用としては利用者に対して不当である。

現在、こうしたシステムが有料老人ホームの常套手段として広がったが為、多くの不動産業者や建設業者が挙って老人ホームの建設や開業に奔走する。何故か、それは「儲かるから」に他ならない。こうした仕組みは日本だけだろう。少なくとも聖禮会が最初に建てた老人ホームはせいぜい30年だったかも知れないが、今は内装を30年サイクルで変えていく程度とすれば自ずと費用は決まってくる。日本の有料老人ホームの仕組みは入居金で建設費もカバーしてしまおうという算段。だから高くなる。地主と協働で行う賃貸方式でも、入居金は高額になる。問題は入居金の取り扱いで、資産のあるものに対しては、建設費の対価を預託する仕組みが導入できれば、退去した人と新規に入居した人との交換で資金的には足りるはず。サービスは別物だから建設資金を体内化することで事業展開も可能だと考えている。

嘗て教わったドイツ方式を実現したいと考えている。日本には無かった建設費の預託方式の登場である。それにより日本の有料老人ホームの入居者が救われれば、それに越したことはない。それが心境である。坂井洲二氏の『ドイツ人の老後』(法政大学出版局)が私のバイブル。ドイツには何度も訪ねたが、私にとっての高齢者居住の原点。日本にもそれを導入したいと願っている。その為には自らが実践しなければならないと考えている。だから新しい住宅にはそれを適用しようと企んでいる。

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このページは、秋元孝夫が2011年12月 7日 15:00に書いたブログ記事です。

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