安気な住まい:コーポラティブという選択

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ギリスで生まれたコーポラティブ住宅の仕組みは、広く各国で展開されているようだ。「組合住宅」とも言い、参加者主導型の住まいづくりである。日本では1975年以降「都市住宅を自分達の手で創る会(都住創)」が発足して大阪や東京という大都市での住まいづくりをはじめた。また、事業リスクを抱えすぎて倒産したが「都市デザインシステム」が東京圏に多くのコーポラティブ住宅を供給した。こうした企業を中心としてこぢんまりと住まいづくりを進める集団が今もいる。

時代は人口減少が叫ばれ、住宅余剰状況が各地に空き家増加に対する対策として解体などの推進を目的とする条例を策定し始めたニュースも飛び込んできた。2011117日読売新聞ニュースによると『全国の空き家757万 戸 窮余の条例化広まる』とのタイトルで空き家増加により防犯や防火の観点から問題が顕在化してきていることが条例化を進めている背景にある。今後、ある 程度の抑制はされるものの建物の新築も続くと思われ、一方で居住する世帯数は減少することを併せて考えると、空き家の増加はさらに増え、家を造って売った り貸したりするビジネスが頓挫すると思われる。こうした時代には既存の建物をコンバージョンして使ったり、新築するにしても居住者の目的を明確にした住ま いのあり方が問われてくる。つまりニーズを的確に受け止めたコーポラティブ住宅のようなあり方が必然的に求められると思われる。

バ ブル経済の崩壊によりディベロッパーの数も半減し分譲マンションの供給戸数も急速に減少したとは言え、まだまだ多摩ニュータウンでは供給を続けていて、戸 数も人口も増えているのだが、限界はやってくる。とりわけ都市機構や住宅供給公社の賃貸住宅などは空き家を抱えて、家賃の低減を余儀なくされていて、民業 圧迫と言われながらも公社では家賃を下げることを敢行している。それにより賃貸居住者も増え、多摩ニュータウンの総合的な人気を高めることになっているの だが、古い団地を建て替えて供給量を増やすにはニーズに限界があるし、低家賃で入居できる住宅を無くす訳にも行かず、鬩ぎ合いの中で運営しているようにも 見える。

こうした賃貸経営の基盤を改善する手法にもコーポラティブ住宅の 手法は活用できそうだ。古くなった賃貸住宅のスケルトン利用を前提に居住者組合に1棟貸しをして、多様な世帯が混在できるコミュニティを誘導する。すでに スケルトン利用を前提に棟毎の定期借家を始めている都市機構の事例もあるが、民間も含めて賃貸住宅の再活用の方法として大規模コンバージョンによるコーポ ラティブ住宅作りも可能である。こうした手法の広がりはこれからである。既存住宅が多くの空き家を生む前に、有効利用を前提に施策を展開していくことによ り、地域が活性化する基盤づくりが出来ると考えている。早急な展開が待たれるものである。我々NPOもいつでも協力する余地があるので声がけをして欲しい。


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このページは、秋元孝夫が2011年12月 7日 14:47に書いたブログ記事です。

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